1・壁を耐震補強する
2・床を耐震補強する
3・ロフトを作って耐震補強する

はじめに
あなたは、自分が住んでいる家が地震で倒壊することをイメージできますか。私は、阪神大震災で家が壊れるのではないかという怖い体験をしましたので、地震が起こった後すぐにDIYでリフォームを兼ねた耐震補強することを決意しました。
 家の耐震補強は、身近で実際に怖い思いをしてみなければなかなかやってみようと思う人は少ないのではないでしょうか。
 でも、近い将来必ず来るといわれている東南海・南海地震は政府の地震調査研究推進本部の予測によると、2030年までに発生する確率は80〜90%というデータもあります。
 地震がきたらどうして家は壊れるのでしょうか?それは、木造の住宅は柱や梁などたくさんの部材で作られていますが、大きな地震が来ると、部材が一瞬のうちに変形して抜けおちてしまい、柱や壁などが倒れてきて圧死や窒息で死亡するケースが多いそうです。
 阪神大震災でも、家の耐震性があればあんなに多くの人々が亡くならなかったはずです。1981(昭和56)年に建築基準法が改正され、木造住宅の壁の量や柱の大きさの基準が大きく変わりました。
 そのことから、それ以前に建てられた古い家屋の耐震性はないといわれています。
 自宅の耐震性が気になり、国の基準による本格的な耐震補強をするとなれば、耐震診断を行い耐震補強工事を行うこととなりますが、費用は約数百万円かかるともいわれており、そのことから耐震改修はなかなか進まないのが実情です。
待っているだけでは耐震補強はだれもしてくれません。自分の家は自分で維持管理すると言うのが基本です。
 そこで思いつくのが、DIY(Do it yourself)です。自分の住まいは自らの手で守りましょう。DIYで耐震補強することは、自分や家族の命を守ることにつながるのです。
 DIYでの耐震補強は、柱にホールダウン金物を取付けたり基礎を補強するなどの本格的な耐震補強ではありませんが、補強すれば今より家はきっと強くなります。私がDIY行ったリフォームを兼ねた耐震補強をおすすめします。
 耐震補強は、費用がかかるだけで地震対策以外は余りメリットはありません。むしろいままでより筋交いや壁が増えて家の使い勝手が悪くなることがあります。
 そのことも、耐震化がなかなか進まない理由のひとつです。
私が行った耐震補強は、和室をカントリーハウスに大改造し、耐震補強とリフォームを兼ねたDIYです。
家が強くなって、室内がきれいになるDIYです。そういうコンセプトでDIYをすれば、一石二鳥でやってみたいと思う人もきっと多くなるはずです。
地震から家を守るには家の剛性(ごうせい)を高めることが重要です。剛性は家の粘りのようなもので、剛性が大きいほど地震に対する抵抗力が大きくなり、大きな地震がきても壊れなくなります。
私の行った耐震補強は、リフォームを兼ねて下地として、柱にしっかりとコンパネを取り付けます。コンパネと仕上げ材の厚さ分だけ少し部屋がせまくなります。
また、床を畳からフローリングに改造することも耐震性のアップにつながります。
私が実施した耐震補強は、費用があまりかからずに家がきれいになって耐震性も高まるDIYです。だれでも簡単にできるDIYですが、住みながらのDIYになるので家族の協力が得られないとできませんし、作業する日は休日だけなので、工期は長くかかります。私の場合は9ヶ月かかりました。ぜひ全国の皆さんにもDIYでチャレンジしてもらいたいと思っています。
  
(※剛性(ごうせい)とは、曲げやねじりの力に対して、粘りがあり、変形が小さくなることをいいます。)
1・壁を耐震補強する
@ 改造前は普通の和室でした。















A柱にコンパネを取り付けています。
壁の室内側に、コンパネを貼って、耐震補強を行います。リフォームの下地を兼ねています。コンパネは、木工ボンドとコーススレッドで柱にしっかりと留めることがポイントです。また、コンパネ同士は裏板を取り付けて一体にすることが重要です。









B カントリーハウスに大改造しました。
ベニア板の上にヒノキの板を一枚一枚木工ボンドと隠し釘で止めていきます。ヒノキの板は、ラッカーシーラーで下地処理してからウレタン塗装をしました。そして、手作り小物をディスプレイするコーナーも作りました。
床、天井、壁を9ヶ月かけてコツコツリフォーム。材料はすのこに使われるヒノキの未加工品の板を900枚買ってきました。そして、仕上げ材料になるヒノキの加工もすべて手作りです。DIYは休日を利用しての作業になるのでいろんな点の苦労があります。生活しながらのリフォームになるので、作業するときはその部屋は使えませんし、そのうえ作業が終わる毎に後かたずけが待っています。そういう状態が長期間続きますので、家族の協力と理解がなければとてもできません。作業期間中は、リビングルームが使えないのでとても不便でしたが、完成したら家族がとても喜んでくれました。
2・床を耐震補強する
床を、畳からフローリングにして耐震性を高めました。

畳をフローリングにしているところです。
畳を取り払ったら、45ミリ角の根太を床板の下にある根太にしっかりと取り付けます。根太を取り付けるコツは既設の根太と直角になるようにすることです。コーススレッドで下の根太にしっかりと取り付けます。










フローリング材は、木工ボンドとフロア用の釘でしっかり取り付けます。
ボンドは根太の上にたっぷりと塗ります。
フローリング材が、一枚の板になるようにボンドとフロア釘で取り付けると床の剛性が大きくなり、地震に対する抵抗力が大きくなります。



3・ロフトを作って耐震補強する
阪神大震災の教訓から、耐震補強を兼ねてロフトを作ることを決意しました。ロフトの製作は、仕事を終えて帰宅してからの2ヶ月の間は毎日小屋裏での作業が待っていました。
小屋裏は高さが低くて疲れやすく、長時間の作業はちょっと厳しいものがありました。
小屋裏の母屋と小屋束に金物を取り付けて補強しているところです。地震や台風が来ても抜けにくくなります。





小屋梁を金物で補強しました。手前はロフトの床部分です。













小屋裏には水平方向や垂直方向の屋根の変形を防ぐために、ベニア板を補強金物とボンドでしっかりととめました。














ロフトが出来上がりました。約6畳ほどの広さです。ロフトの周囲は断熱材で覆い、暑さや寒さを防ぐ対策をしました。














手前の左がロフトへの入り口です。手前の左に見えている2本の柱ははしごです。
正面の奥は棚を作って収納スペースにしています。
これで出来上がりです。家の耐震性がアップし、大きな収納スペースも確保しました。